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2018年夏興行の雑感、からの秋

すっかり2018年9月も半分が過ぎてしまい、夏興行について語ろうとしたら当然ではあるがまとめられている記事が既に出てしまっていた。
www.oricon.co.jp
記事にもあるとおり、確かに去年よりも若干ヒットが回復している気がする。

さて、今週2018年9月18日発表での7・8月公開作は以下の通り。

順位 作品名 上映週
4位 検察側の罪人 4
5位 銀魂2 掟は破るためにこそある 5
7位 アントマン&ワスプ 3
8位 カメラを止めるな!*1 13
9位 劇場版コード・ブルー ドクターヘリ緊急救命 8
10位 SUNNY 強い気持ち・強い愛 3

eiga.com

同時期くらいの昨年・2017年9月19日発表での7・8月公開作は以下の通り。

順位 作品名 上映週
4位 関ケ原 4
5位 怪盗グルーのミニオン大脱走 9
7位 君の膵臓を食べたい 8
9位 ワンダーウーマン 4
10位 打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか? 5

eiga.com

9月に入ったが、今年はTOP10圏内で8週以上続いている作品が『劇場版コード・ブルー ドクターヘリ緊急救命』と12週目の『カメラを止めるな!』である。
昨年も圏内で8週以上続いている作品は2つあるが、『劇場版コード・ブルー ドクターヘリ緊急救命』に至っては怪盗グルーのミニオン大脱走興行収入を既に上回り現在86億円を突破している。*2


2016年の日本の興行収入ランキングで1位になったのは記憶に新しい君の名は。だが、2016年8月26日公開なのでそれからのロングランヒットは実質秋興行、しかも翌年2017年1月23日発表のランキングでも1位に返り咲いてしまったので別枠であろう。
しかも先ほどのランキングと同時期の2016年9月20日発表のランキングを見てもTOP10圏内で8週目以降の作品がシンゴジラ(8週目、2016年7月29日公開)しかなく、ほぼ秋興行へと移行しているので、今年は夏興行が盛り上がった年といえるのではなかろうか。

『カメラを止めるな!』と『この世界の片隅に』の類似性

小規模公開から拡大し、ランキング上位に留まり続けている作品として、近年だとこの世界の片隅に(2016年11月12日公開)がある。
初週は10位、3週目で6位に浮上、以降何度もランキングの上下を移動しながら16週目でTOP10圏外になっている。

『カメラを止めるな!』に関しては、初週はTOP10にすら入ってはいない。なにしろ最初の公開館数が、この世界の片隅にが68館に対してたった2館だったのだ。
実は桁が違っていたと気付かされる。

『カメラを止めるな!』は2018年6月23日公開から7週目でTOP10の10位にランクイン。8週目は11位にダウンしたが、9週目で8位に浮上、そして先ほど述べたように13週目の現在でもTOP10圏内をキープしている。

タイプが全く異なるこの2作品だが、"口コミ"の力はまだ衰えていないといえよう。
ただ、こういった作品は狙ってスマッシュヒット・ロングランヒットなどが生まれるわけではなく、作品が持つ純粋な力で登り詰めているので、次なる作品が現れるかはわからない。

ちなみにだが、『カメラを止めるな!』は拡大公開にあたり配給会社が製作元のENBUゼミナールからアスミック・エースとの共同配給になった経緯がある。*3
拡大公開のカギはここにもあったりはする。

『劇場版コード・ブルー』と『カメラを止めるな!』の感想

今夏ロングランヒットしてるこの2作品を観たが、タイプが異なる作品だと感じた。

まず『劇場版コード・ブルーに関しては僕のTwitterのタイムラインでは感想があまり現れなかった。

『劇場版コード・ブルー –ドクターヘリ緊急救命-』主題歌「HANABI」予告映像【7月27日公開】
「私のタイムラインでは観たという人がいない」いう注釈付きで観ている人がちらほらいたくらいだ。
ドラマを全く観ていないのでドラマでの熱狂ぶりはわからないではいるが、観た感想としては確かに映画ばかりを観る人よりはテレビドラマで熱くなった人への演出のように思えた。台詞回しや音楽の使い方などがやや過剰だったからだ。
ただし、「やや過剰気味」なのは普段そういった演出を抑えている映画を好んで観ているからであって、想像してたよりは抑えていたし、全体を観ると骨太ともいえる映画に仕上がっていた。
なにしろ主演5人のキャラがそれぞれ立っていて、仕事の時の目は真剣そのもの。テレビドラマでよくある、そしてその延長線上にある劇場版での"ふざけ"部分がほぼ削ぎ落されていたのが本作をより良いものへとしていた。
また、ドラマ誕生から10年経って後輩もでき、先輩として教育することへの意識をもつようになった成長もしっかり描かれていた。
序盤でそれまでの経緯がダイジェストで流れ、きっとテレビドラマを全て観ていた人には彼らの成長への想いは溢れんばかりだったのではなかろうか。

先ほど述べたように興行収入86億円を突破しており、今年では暫定2位の成績であるから、確実に日本で観ている人が多い作品だ。
ネットにはあまり現れて来ない層だからなのか、はたまたは僕の興味の範疇の層にはおらず、その層というのはとても大きいからか。
はて。


一方『カメラを止めるな!』Twitterのタイムラインでかなり盛り上がっていた作品だった。

映画『カメラを止めるな !』予告編
驚いたのは、映画を普段そこまで観ないフォロイーさんですら観ていたということだ。「ネタバレ禁止」を皆が守り、そんな映画はいくらでもあるのに皆が「面白い」と言う。
僕も話題になってからやや遅れて観たが、確かに面白く観られた。映画ファンでなくても面白い秘密としては、映画愛には溢れているが、マニアックすぎるようなネタを詰め込むことがなかったからではないからと思われる。
これに関しては他の人が言っていたので僕の気付きではないけれど、思い出せば何かのメタファーなんて小難しいものをそんなに取り入れてはいなかった。こういうことは大事だな、と感じる。

それにしても、『劇場版コード・ブルーとは予算が確実に違い、チープにも思える作品がこう幅広く受け入れられているのは素直に嬉しい。ここまでのヒットになるとは誰か予想しただろうか。

2016年の君の名は。の化け物ヒットから一転、2017年は盛り上がりに欠けたが2018年はまた違った動きを見せてくれた。
さて、2018年残り3ヶ月半はどうなるであろうか。
楽しみだ。

*1:6月公開ではあるが、8月20日発表のランキングでTOP10圏内に浮上し、それをいまだキープしているのでここに入れておく

*2:興行通信社歴代ランキング参照

*3:『カメラを止めるな』2018年7月25日公式サイト発表