2018年9月6日(木)、観終わって興奮した映画があった。
映画『寝ても覚めても』90秒予告
丸子亮平は勤務先の会議室へコーヒーを届けに来た泉谷朝子と出会う。ぎこちない態度をとる朝子に惹かれていく亮平。真っ直ぐに想いを伝える亮平に、戸惑いながら朝子も惹かれていく。しかし、朝子には亮平に告げられない秘密があった。亮平は、2年前に朝子が大阪に住んでいた時、運命的な恋に落ちた恋人・鳥居麦に顔がそっくりだったのだ――。
(映画『寝ても覚めても』公式サイトより)
過去に付き合ってた男と同じ顔の人を好きになっちゃった女の恋愛映画。
もどかしい感情を優しさが包み込んでいき、やがて暖かい物語へと収束してい・・・かなかった!
原作自体がどうやら元々人の心をざわつかせるものだったらしいが、この作品を撮った濱口竜介監督もまた過去にそういう作品を撮っている。
印象に残っているのは2016年1月1日(金)、そう、元日という日に東京渋谷・イメージフォーラムで観た『ハッピーアワー』だ。
ロカルノ国際映画祭最優秀女優賞受賞!映画『ハッピーアワー』予告編
あらすじは省くが、濱口竜介の演出方法は実に独特だ。
『ハッピーアワー』に関しては、登場人物たちの喋り方のテンションがすごく低すぎるまま、休憩挟む2部構成で317分の物語が流れていくのである。
”いつかはみんなの台詞回しのテンションが少しずつ変わってくのだろう…”と思ってたのに、ほんの少しの起伏しか出てこない。
それで、この予告編にある「私は夫に殺されたんです」が来る。
観客は突然すぎる修羅場に頭がついてこれなくなってくるのだ。
これは『寝ても覚めても』でもあった。登場人物でさえ居ても立っても居られないんだから、観客だって同じである。
テンションの低い台詞回しについては、唐田えりか演じる朝子の喋り方と、東出昌大が二役演じた中の麦の喋り方がそうだった。
今回は特に波風がかなり立つ物語なので、その中でのこの二人は喋り方によってか物語をふわふわ浮いたまま歩んでいるように見えた。
濱口竜介監督は実にミニマムな物語をマキシマムにしてしまう。
2013年12月1日(日)に観た『親密さ』。
『親密さ』 予告編
225分の中で後半丸々演劇1本を流してしまうこと、これまた台詞回しのテンションの低さ(演劇ですらそうだったりする)、そして、映画上で時間軸そのままで朝を迎えてしまったりする。
そんなざわつかせることもこの映画ではあるが、こんなミニマムな男女の話の中に”戦争”の影がチラつき、やがては介入していくのである。
今回の『寝ても覚めても』だったら東日本大震災だ。濱口竜介監督自体が震災後にドキュメンタリーを撮っているというのもあるが、ある種どうでもよい、そしてあんまり関係ないであろうミニマムな男と女の恋沙汰に、上手く震災を組み込んでいる。
ただ、震災が直接的甚大な被害こそ受けてなくとも人の心に何かしら爪痕を残したのは事実で、そこは不自然ではない。
僕はつい先日に起こった台風21号の北海道での被害と、その後に起こった北海道地震の直後にこの映画を観た。
北海道は生まれ故郷であり、7年間過ごした地であり、旧友も従姉妹家族もいる。幸いみんな無事ではあるらしいが、家族、友人、恋人、仕事仲間(昔も含めて)、そして過去様々関わってきた人たち・・・についてどう思いを馳せていくのだろうか、と色々考えてしまったのであった。
このblogの方針
というわけで初めてなのに長々書いてしまった。
映画鑑賞レビューは既に数多あるので、今後はあまりしたくはない。
別blogで鑑賞記録のみを羅列していくようになったのはTwitterやFacebookで独り言を書いてくだけのほうが楽というのがあるのと、羅列という簡素なもので思い出す膨大なものを自他共に生み出したいというのがあった。
また、映画ライターが紡ぎ出す語彙を上手く出せないというのもあるが、そういうのは彼らに任せて、僕は気楽に様々なものを数多く観ていくだけ観ていきたいというのがある。
それよりは今後の映画界の展開を見て語っていきたい。
僕の趣味の一環である映画館巡り、映画祭巡り。そして映画興行収入ランキングについて語りたい。
映画興行収入に関しては、映画というものを”商業”として分析して語っておられた斉藤守彦さんを見習いたいというのがある。
news.yahoo.co.jp
airj15.hatenablog.com
また、最近は映画を観たり映画祭等でスタッフとして携わったりするのみならず、クラウドファンディングなどの形で出資をするようになり、それらは映画に関することが多かったりする。
以下が直近で出資した主なものだ。
motion-gallery.net
motion-gallery.net
motion-gallery.net
映画に関するblogなどいくらでもありすぎるので、自分らしさはやりながら模索していくしかない。
最後に
ねじまきさんの『映画館で映画を観るメリット7つ』というポッドキャストと『映画は映画館のスクリーンで観るべき7つの理由【おすすめ】』という記事はおススメだ。
映画館で映画を観るメリット7つ #024 | 世界のねじを巻くラジオ【ゲイのねじまきラジオ】
www.nejimakiblog.com
(彼の語り口は変に深くなりすぎないので、入り口にはちょうど良い)
絶望も希望も、共感も拒絶も、映画館のような”場”があってこそぶわっと湧き出るものなので、今回『寝ても覚めても』のように、IMAXや最新音響で見る迫力のアクションとかスリラーとかではないものでも、”驚き”はある作品はいくつもあり、それをどうしても伝えたくて、本当はレビューを書くことを避けたい中、彼のポッドキャストを前日に聞いたこともあり、書いてしまった。
僕が知り得る限りの映画の”場”、これから出会う映画の”場”についても今後は語っていきたい。